令和5年度 学位記授与式(卒業式)学長式辞

Date:2024.04.04

学部卒業生の皆様、大学院修了生の皆様。

本日ここに令和5年度駒澤大学学位記授与式にあたり、晴れて卒業される学部卒業生の皆さん、そして大学院を修了される皆さん、ご卒業おめでとうございます。
この日を心待ちにされ、長い間、物心両面でご支援くださいました御親族の皆々様に対し、改めましてご来賓の関係者各位と共に、教職員一同、心よりお祝い申し上げます。こうして入場制限がすべて解除された卒業式は、2018年度以来、5年振りということになりますが、通常に戻った卒業式が挙行できましたこと、大変嬉しく存じます。

皆さんが本学に入学されてから、世界を巻き込む想定外の出来事が起こりました。外部環境の変化は皆さん一人一人の人生の歩み方に大きな影響を及ぼします。その中のいくつかを振り返ってみましょう。

20240404kagami各務 洋子 学長

まずは、大半の皆さんが入学された2020年は、すでに世界中が新型コロナウィルスの影響を受け、入学式は中止、授業はすべてオンラインとなり、自宅にこもって孤独に勉強する日々が続きました。いま振り返っても二度と繰り返したくない経験です。しかし、本日卒業される皆さんには、100年に一度程度繰り返される歴史に残るウィルスと人類の闘いの「当事者」であったということ、またそこから身をもって学んだことは、100年に一度と言ってよいほどの稀少な体験であったことを忘れないで欲しいと思います。今後ますます様々な国の人々と共に仕事をすることになりますが、苦しかった共通の経験を通して発見したことを共有し、共感し、共に新しい未来を創造して欲しいと願っています。

その後、2022年2月24日、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が起こりました。今年の2月24日でとうとう2年を終え、3年目に入りました。さらに昨年10月7日、パレスチナのガザ地区を支配するハマスとイスラエルとの闘いが続いています。"戦争の世紀"と呼ばれた20世紀が終わったにも関わらず、21世紀の今もなお、武力紛争の数は50を超えると言われています。暴力や武力による命の奪い合いは根絶しなければなりません。様々な技術革新が進む中で、人間同士の対立が対話によって解決できる日を、社会に出る皆さんとともに目指して参りたいと思います。

3つ目に、注目してもらいたいのは世界の人口です。2022年11月15日、80億人を突破しました。今年は81億人に達します。しかし、この人口増加は、20世紀の経済成長を支えた人口爆発とは異なり、人口の増加国と減少国の格差が特徴です。国連の推計に基づきますと、世界人口80億人のうち、3人に1人はインドまたは中国という割合になります。日本は人口減少国です。

ここで一つ、日本について私たちが考えておかなければいけないことは、日本が災害大国であることです。今年年頭の能登半島地震では、胸の痛い日々が続きました。今なお終わりの見えない中で生活する被災者の方々がいらっしゃいます。一日も早い復興を願うと同時に、日本が自然災害の多い国であること、その対策を真剣に考えなければなりません。

4つ目に経済活動です。内閣府の発表によれば、日本の去年1年間の名目GDPがドル換算でドイツに抜かれて世界4位に転落と、今年2月15日に発表されました。約半世紀前の1968年に日本の経済規模はアメリカに次いで世界2位でしたので、経済活動においても変動が大きいことが分かります。

最後に生成AIです。OpenAI社が開発したChatGPTが公開されたのが2022年11月30日でした。インターネット以前の10年と、その後の10年がよく比較されますが、圧倒的に大きな変革が起こったと言われます。生成AIの登場により、これから先の10年はさらに大きな変化が起こることは間違いありません。今から10年後の変化を予測することは不可能に近いとも言われます。私たちにできることは、変化を予測することではなく、変化の兆しに気付き、できる限り早くその本質を把握し、これから起こる変化に備えること、そして変化を楽しむマインドをもつことでしょう。

いまから3年前、私が学長に就任して以来、「デジタル化の推進」と「ダイバーシティの尊重」に注力してきました。コロナ禍においても、ウクライナの戦場においても、また災害地においても、インターネットを通したメディア技術の革新が人々を救ったという事実がありました。さらには、生成AIが就労人口の減少をカバーできるのではないかという試みも進んでいます。想定外に起こる国家を超えた環境の変化に対して、皆さんは地球市民の一人として、世界の人々と共に解決に向けて力を合わせて欲しいと願っています。

こうして世の中はますます変化の激しい時代を迎えます。幸い、本学を卒業される皆さんは、こうした「先行きが不透明で、将来の予測が困難な状況を示すVUCAの時代を力強く生きる「"智慧と慈悲"の精神」をもち、「しなやかな、意思。」を身に付けています。誇りをもって大海に乗り出してください。本学で学んだ様々な知識と知見を社会の現場で日々実践して欲しいと思います。

最後になりますが、本学の卒業生の皆さんのご活躍は目覚ましいものがございます。同窓生の人数は26万人に上ります。駅伝や野球、ボクシングなどのスポーツだけでなく、みなさんが4月1日から仕事をはじめるビジネスの世界においても、本学の卒業生は様々な分野にわたり活躍していらっしゃいます。

昨年の卒業式より、新しい企画として、学長の式辞、総長の祝辞のあとに、同窓生からの祝辞を頂戴することになりました。本日、お越しくださいました同窓生の 黒岩 正勝 様は現在、ニッコンホールディングス株式会社、代表取締役社長(3月24日:石井 和徳 様は現在、ヒロセ電機株式会社、代表取締役社長)を務められ、昨年1月に設立されました駒澤大学同窓会経済人会の初代会長(石井 和徳 様は初代副会長)です。
皆さんの先輩です。この後のお話を楽しみにしていてください。

改めまして、お祝い申し上げます。
ご卒業おめでとうございました。

各界で活躍される皆さんの姿に思いを馳せつつ、私の祝辞といたします。

令和6年3月23日/24日

駒澤大学学長
各務 洋子